スポーツニッポン 11月11日掲載 より抜粋
インフルエンザ対策は緑茶でうがい 〜カテキンの抗ウイルス作用〜
静岡県立大学薬学部・山田浩教授 高齢者対象の検討・研究で判明
A、B両型に予防効果が
緑茶に含まれるカテキンには抗菌、抗ウイルス作用があることは知られているが、インフルエンザの予防効果も期待できることがこのほど明らかになった。静岡県立大学薬学部の山田浩教授が高齢者にカテキンの含まれる飲料でうがいを行ってもらい検討・研究した結果、分かったもの。山田教授は、うがいだけでなく「緑茶の飲用でも予防効果は十分に期待できる」という。
飲用しても効果
山田教授は、特別養護老人ホームに入所する高齢者(平均年齢83歳)を対象に2005年、検討を行った。76人にカテキンのうがいを1日3回、3カ月にわたって行ってもらい、同時期にカテキンを含まない飲料(水)でうがいを行った48人と比較した。この結果、インフルエンザ発症者はカテキンのうがいを行ったグループが1・3%、水でうがいを行ったグループが約10%で、有意差が認められたという。うがいに使われた飲料のカテキン濃度は、市販されている緑茶飲料の半分程度に設定された。
同ホームではその後もカテキンのうがいが継続して行われ、05年には6人だった発症者が、06、07年には0人、08年には1人と大きく減少し喜ばれているという。さらに成人健常者を対象とした予備研究も同時に行ってみたところ、インフルエンザや風邪の症状の持続時間が、カテキンのうがいにより、短くなる傾向がうかがえた。
山田教授は「今回はうがいで検討しましたが、緑茶の飲用でも効果は十分に期待できる」としたうえで「一度にたくさん飲むのではなく、緑茶のペットボトルを持ち歩いて、外でもこまめに飲むとインフルエンザ予防に効果的だと考えられる」と指摘した。
栄養、休養十分に
また「カテキンの作用は、インフルエンザウイルスに吸着して、体内に入る前に感染を防ぐこと」だが「ウイルスの型にかかわらず対応できる力があります」ともいう。インフルエンザは現在、感染力が強い新型、季節性のA型、B型が流行しているが、そのどちらにも予防効果が期待できるというわけだ。
さらに「緑茶カテキンには体内でインフルエンザウイルスの増殖を抑制する作用もあると考えられます」と、今後の研究にも大きな期待を寄せている。
ただし、現実問題として「新型インフルエンザは感染が大きく拡大することが考えられますから、栄養と休養を十分にとる、人込みを避けるなど、基本的な対策をしっかり取ったうえで、緑茶を取り入れてほしいと思います」とアドバイスを送った。[ 2009年11月11日 ]
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